Q:929への回答ありがとうございました。先週、ある画期的な特許を持つナットを作る会社の経営者をゲストに、「カンブリア宮殿」を収録しました。ハードロックナットと呼ばれるそのナットは、「緩まない」ナットとして、おもに新幹線の車両や高架橋、それにテーマパークの乗り物、そしてNASAでも使われているそうです。従業員数40人ほどの会社で、年商が12億だということでした。
年商12億と聞いて、ついある数字と比べてしまいました。正確なのかどうかわかりませんが、ある記事によると、先週破綻したリーマン・ブラザーズのファルド会長兼CEOの昨年度のボーナスの額は2000万ドルでした。比較してもしょうがないのかも知れませんが、世界的な発明の「緩まないナット」を開発した企業の年商が12億で、証券会社の経営者の単年度のボーナスが20億強というのは、いびつではないかと思いました。中小零細の製造業に活気がなく、また工学部の学生が減っていて、日本のもの作りが不安視されているようですが、そういったいびつな構造がある限り、若年層の製造業離れは続くのではないでしょうか。
ちなみに、「もの作り」というわけのわからない言葉が登場するのは90年代の後半だそうです。ソニーやホンダが生まれた高度成長の黎明期、日本には数え切れないほどの、創意と活気にあふれた中小零細の製造業が誕生していましたが、「もの作り」などという言葉は一般的ではありませんでした。何かが失われたときに、耳に心地よいだけで内実の伴わない言葉が流通することが多いようです。最近政治家は、「国民目線」という言葉をよく使いますが、何を意味するのか、わたしはわかりません。おそらく、何となくニュアンスが通じる、ということで流通しているのでしょうが、それでは他にいったいどういう目線があるというのでしょうか。政治家目線、官僚目線、評論家目線、外国人目線などは一般的ではなく、ただ一つ「国民目線」があるだけなのです。
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