村上龍、金融経済の専門家に聞く
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村上龍からの質問
Q.1253
配信日:2012年03月06日
以下は、首相官邸オフィシャルブログからの引用です。野田総理の言葉です。

<2012年2月1日 衆議院予算委員会 仙谷議員への答弁>
「バブル崩壊後生まれた人たちは、今日より明日が良くなる、という思いを持てない状況がずっと続いているということも深刻ではないか。どういう夢があるかというと、きちっと正社員になって結婚をする、ということが夢になりつつあると。そうではなくて、もっと大きな夢を描いて、日本のために頑張ろう、世界のために頑張ろうという人たちが増える環境をつくるためにも、今はやらなければならないことがたくさんあるのではないかな、という思いを持っております」
http://kawaraban.kantei.go.jp/2012/02/20120221.html

上記の野田総理の「思い」を実現するためには、具体的にどんな政策が考えられるのでしょうか。
寄稿家: 杉岡秋美 の回答
生命保険会社勤務
「どじょう内閣の返上?」

 最初は野田総理の言っていることの意味がわかりませんでした。多くの若者が、
「きちっと正社員になって結婚」出来るための政策を策定し実行するのが、保守的で
地味だけど着実な「どじょう内閣」の使命なのかとおもっていましたので、この文章
は、その夢がつまらないものなので、「日本や世界のために頑張る」より高度なもの
に目標をシフトさせると言っているように聞こえたからです。大きな夢を持ち出して、
具体的な経済問題から目をそらす気かと。

 ちょっとひねくれているかもしれませんが、権力者が若者の内面に立ち入り、「日
本のために」あるいは「世界のために」の夢を語るのはやりすぎだと感じてしまいま
す。若者は自分なりの夢を持っているとおもいますので、上から目線でそれが大きい
とか小さいとか言う必要はなく、そのための特別な政策が必要だとも感じません。

 ただ、発言では「日本のため」「世界のため」の夢がどのようなものであるかの具
体的な圧しつけをしているわけではないので、野田総理の言いたいことは、最初に
「きちっと正社員になって結婚」という目標があって、それが達成されてから「日本
のため」「世界のため」という大きなストーリーが描けるということかもしれないと
考え直しました。最初の目標が達成不可能な夢となってしまっている現状を憂いて、
最初の目標を達成することに努力したいということなのでしょう。

 野田総理の良さは、あまり大きなストーリーを語らず、着実に実務をこなしていく
キャラクターにあるとおもいます。もちろん、目標自体の古臭さにいちゃもんをつけ
たくもなりますが、まず「きちっと正社員になって結婚」出来るための政策を完遂し
て欲しいと思います。

 そのための具体策は、お題目としてはすでに政権のなかに用意されていると思いま
すので、新たに付け加えるものはありません。その優先順位が大問題ですが、それに
ついては野田総理の増税先行路線は間違いで、先にデフレ状況を止める方策に注力す
べきだと思います。デフレが止まらなければ、成長戦略、産業振興も税と社会保障の
一体改革も生かすすべがないのではないでしょうか。

村上龍RYU'S CUBAN NIGHT