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Q.1233
配信日:2011年10月17日
先週、NYで、「ウォール街を占拠しよう」というデモや集会があり、シカゴやLAなど全米各地にも広がっているようです。この現象をどう考えればいいのでしょうか。
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寄稿家:
杉岡秋美
の回答
生命保険会社勤務
金融業界は、いつも左右両派からの攻撃の対象になります。アメリカの金融資本主
義といわれる側面を代表して、アメリカ経済の強さを演出してきたのはウォール街に
集中する投資銀行ですが、強欲さを美徳として、その結果儲けた額で評価が決まるシ
ステムを持つ世界だけに、アメリカのリベラルな平等主義者、経済学的には分配の公
平を重視する人たちには、悪徳の巣窟のように映っているのだとおもいます。宗教右
派や茶会派といった保守派からも、悪魔や異教徒のようにおもわれているでしょうか
ら、かれらが社会的な非難の標的になるのは、いつものことのように思います。
デモに参加した若者は、テレビで見る限り、非暴力を旨として、激昂することも無
く富の分配の不平等さを訴えています。かれらは、日本のオタクと同様にパソコンや
スマートフォンを使いこなし、SNSで議論とプロパガンダを行い参加者もつのりま
す。
日本のネット空間のようにアニメのキャラや嫌中・嫌韓で盛り上がるだけではなく、
富の配分の不平等の話題でデモや集会まで持っていくところに、彼等の政治に対する
ナイーブな前向きさを感じます。平均以上の教育を受け、思想的に中道、中間所得層
出身の真面目な若者集団の様に見受けられました。余談ですが、拠点の公園内で、自
主的に図書館を開いたり、警察の介入を防ぐために自主的に清掃を行うなど、あたか
もコミューンを形成しているのをみると、映画で見た1969年のウッドストック
フェスティバルを思い出します。
今回の「ウォール街占拠」で掲げられ試みられているのは、中間所得層の価値観で
あるように思います。他の先進諸国では標準装備されている、所得の再配分のシステ
ム、社会保障のシステムが脆弱であり、雇用が低迷する中、自分の世代で生活レベル
が維持できなくなっていることに対する恐怖がこのような政治行動になったのでしょ
う。
オバマ政権が低迷していることもあり、アメリカの政治運動のなかでは、宗教右派
や茶会派、あるいはリバタリアンなど、原理主義的な傾向が強いものばかりがめだち、
他国の感覚からすると理解に苦しむ状況が続いていました。ウォール街占拠の主張は、
特にユニークというわけではなく、所得配分の平等を目指す、普通のもののように思
えます。そのような意味で、アメリカ全土の中間層に訴え、他国の共感をえる潜在性
を秘めているように思われます。
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