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Q.1029
配信日:2009年09月21日
ABCマート、ユニクロ、ニトリ、日本マクドナルド、サイゼリヤ、OKストアなど、
サービス・小売り業における数少ない「勝ち組」は、確かに消費者に貢献していると
思われます。その過剰とも思える消費者寄りの経営姿勢ですが、経済全体にも貢献す
るものなのでしょうか。
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寄稿家:
山崎 元
の回答
経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員
たとえばユニクロは、同品質の商品であれば他社よりも安く売ることで消費者の支
持を得ていますが、ファーストリテイリング社が直接製品を設計し、量をまとめて自
社で材料の買い付けを行い、中国などコストの安い場所で製造し、中間流通を省くな
どの工夫とリスクテイクによって、相対的な低価格を作り出しています。
ご質問に「消費者の貢献」とあるとおり、こうしたビジネス展開が消費者により良
い機会を与えていることは間違いなく、消費者はより低予算で衣料品を手に入れられ
ますし、そこで浮かせることが出来た予算を別の消費に振り向けることが出来るので、
「ユニクロのお蔭で、消費者の総効用が改善した」ということができます。
同社の価格の安さは基本的に相対価格の安さであって、ユニクロ、あるいはユニク
ロ的なビジネスがデフレの主因だと考えるのは的外れでしょう。
一方、ユニクロ的なビジネス展開にあっては、生産プロセスの一部ないし全部が中
国など海外に流出すること、これまでであれば流通に関わって中間マージンを得るこ
とが出来た流通業者がビジネスを得られなくなることが、影響として考えられます。
こうした変化は、ユニクロの生産分についてだけ起こるのでなく、ユニクロと競争し
なければならない他社製品についても似た変化が起こります。
これは、技術進歩による労働者の失業などと似た性質を持っていますが、経済全体
としては、国内の生産者や流通業者が、他の広義の生産活動(介護のようなサービス
も含む)に於いて経済に貢献する余地を生むので、経済全体としては悪いことではあ
りません。
国内の衣料品生産者や流通業者、あるいはファーストリテイリング社のライバルに
とっては、転業は苦痛を伴うでしょうし、摩擦的なコストもあるでしょうが、彼らが
彼らの実力に見合った他の機会を得ることは可能なので、経済全体としてはユニクロ
のビジネスはプラスに作用しています。これを規制することによって、国内の既存ビ
ジネスに楽をさせて残すことは、経済全体としてはマイナスに作用します。自由貿易
を規制することがおおむね愚かなのと同様の理屈です。
結論として、安売りを可能にして成功しているイノベーター達は経済全体に貢献し
ていると考えていいでしょう。
ただし、低価格で成功している一部の外食事業者については、消費者の財布に優し
いのはいいとしても、味覚と健康に対する影響に於いて問題を感じることがあります
(食べる気など起こりませんが、店頭の臭いだけでも嫌な感じがします)。彼らには、
品質にも改善意欲を持って欲しいと思います。
尚、商品やサービスに関するイノベーションには、低価格を魅力とするものと、魅
力的な新しさや高付加価値を目指すものの二通りがあり、両方が現れます。安売り以
外にもイノベーションは起こるので、消費者としても、ビジネスに関わる者としても、
両方を楽しみに待ちたいと思います。
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